相続用語辞典か行
家督相続(かとくそうぞく)
戦前の民法で、戸主が死亡したり隠居したりした場合に、戸主の地位を後継者1人が引き継ぐこと。
普通は長男が財産とともに引き継いだ。「家督」とは「戸主たる地位」のことです。
戸主が死亡したり隠居したりすると、その「戸主たる地位」を長男に引き継がせねばなりません。
それが「家督相続」です。家督相続が起きると戸主が書きかえられる為、戸籍が作り替えられます(戸籍の編成)。
現在は戸籍筆頭者が死亡しても、その戸籍に家族が残っていれば戸籍はそのまま使われますが、戦前は作り変えられたのです。
寄与分(きよぶん)
相続人のうち、故人の財産形成にとくに貢献の大きかった人の貢献分を算定し、相続財産額から差し引いて貢献した人に相続させること。
注意すべきなのは、「相続人のうち」であるということ。
内縁の妻などの法定相続分を持たない人は、どんなに貢献度が大きくても、この制度の恩恵に預かることはできません。
内縁の妻に寄与分に相当する財産を与えるには、遺言が必要です。
欠格(けっかく)
被相続人に対する殺害関与や、遺言書に関する不正がある場合に、相続権を失うこと。
具体的には、以下の5項目のどれかに該当すると、当然に相続権を失います。
①故意に、被相続人又は相続について先順位もしくは同順位にあるものを死亡するに至らせ、または至らせようとした者
(過失犯や執行猶予刑はこの対象外です)
②被相続人の殺害されたことを知って、それを告発せず、又は告訴しなかった者
(相続人に是非の判断能力が無い場合と、殺人者が相続人の配偶者や血族の場合は対象外です)
③詐欺又は脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、これを取消し、またはこれを変更することを妨げた者
④詐欺又は脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、これを取り消させ、またはこれを変更させた者
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者
相続欠格となっても、代襲相続することは可能です。
血族(けつぞく)
親族のうち、実際に血のつながりのある関係のこと。直系と傍系がある。
直系血族は、自分から見て親・祖父母・子供・孫・曾孫・・・・
傍系血族は、兄弟姉妹・甥・姪など
限定承認(げんていしょうにん)
相続財産の範囲内で負債を返済する相続手続きのこと。
相続人全員で家庭裁判所に申立てする必要があり、又手続きが煩雑なため、殆ど利用されていない。
負債が明らかに財産よりも多い場合は、相続放棄手続きのほうがずっと簡単。
公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)
公証人に作成してもらう遺言書のこと。
遺言書を書きかえられたり、隠されたりする恐れが無い半面、遺言書の中身がほとんど公になるという弱点もある。
相続関係者以外の証人が2名必要なので、行政書士などに依頼したほうが簡単。