明治時代の戸籍

明治時代には、明治31年式戸籍・明治19年式戸籍・明治5年式戸籍の3種類の戸籍がありました。
そのうち、明治5年式戸籍は、作られた年の干支のちなんで壬申戸籍と呼ばれます。
この戸籍は、日本で初めて戸籍制度ができた時の最初の戸籍なのですが、江戸時代の身分差別が残っているとのことで、現在は公開されておりません。
この時代の戸籍に載っている人は、今の中年の方のおじいさん・おばあさんの代以前ということになります。
相続に必要な事例で言うと、両親の兄弟関係を確認するために、祖父母の戸籍を確認する場合です。
つまり、子供のいない叔父さんの相続を手掛けた場合などです。
この時代の戸籍で困るのが、字が読みにくいということです。
私が手掛けた事例では、明治初期に生まれた女性が嫁いだらしい記載があるのですが、どこの誰の戸籍に入ったのか全く読めません。
その戸籍を管理している役所の大ベテラン職員の方にも協力してもらったのですが、ほとんど読めません。
しかし、かろうじて転出先の地名が近隣の役場の管轄ではないだろうかということで、その役場に確認してほしいとのことでした。
昔は、字が読みにくい上に地名が大きく変わっているケースがあるので、尚更分かりにくいのです。
こんどはその近隣の役場の方に協力してもらい、最後は何とか戸籍を出してもらうことが出来ました。
制度上、戸籍は私が請求しないと発行してもらえませんので、とにかく自分なりに解読して職務上請求書を提出しました。
しかし、出てきた戸籍は私の解読とは似ても似つかぬ本籍と戸主名でした。
役場の皆さん、本当にお手数をおかけしました。ありがとうございます。

明治31年式戸籍

この戸籍の特徴は、戸主名の左隣に「戸主となりたる原因及び年月日」という欄があることです。
ここに書かれている日付で、戸籍が作られた日がすぐわかるメリットがあります。
被相続人の戸籍は出生から死亡までの連続した戸籍をとりますが、出生については全ての戸籍に転記されるため、どれが出生時の戸籍なのか、なかなか分からないものです。
戸籍が作られた日付が、出生日より古い戸籍がそれなのですが、明治31年式戸籍は簡単に判断できます。
他の項目は、大正4年式戸籍と一緒です。

明治19年式戸籍

現在公開されている最も古い書式の戸籍です。
この戸籍を見ると、安政、慶応、文久、嘉永などの元号が普通に出てきます。まさに江戸時代を眺めている気分に浸れます。
昔の戸籍は、保存期間が50年とか80年だったので、廃棄されて戸籍が出てこないケースも結構あります。
その場合は、役所に廃棄証明(行政証明)を出してもらいます。そうして、それ以前の相続関係は証明できないことを証明してもらう訳です。
でも、戸籍によっては保存期間を過ぎていてもきちんと保存され、そういう戸籍は今はPDF化されていますので、150年保存期間はもう大丈夫です。
明治時代の戸籍の難点は字が読みにくい点ですが、私の経験では80%は全く何の問題も無く読めます。
残りの20%の内、15%~18%くらいは、虫眼鏡を駆使して頑張れば何とか解読できます。
そのまた残りは、役所の方にご協力願う訳ですが、最後の1%くらいは役所の方でも読めないという状況があります。
最終的には役所の方はそれも解決されますが、どうやって解読しているのか、私にも分かりません。

明治5年式戸籍

日本で最も古くに作られた戸籍です。
残念ながら現在は公開されていないので見ることができません。私も見たことがありません。
文言中に江戸時代の穢多非人などの身分差別が残っている為、非公開になっているそうです。
これ以前は、お寺の宗門人別改帳や過去帳が戸籍のような役目を果たしていました。
家系図を作られる場合は、実家の近くのお寺廻りが必要になります。


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