相続放棄

相続が発生したときに、明らかに資産より負債が多いとか、判然とはしないけれど負債が多そうだという場合に、相続放棄や限定承認という手続きが可能です。しかし実務上、相続放棄が年間15万件ほどあるのに対し限定承認は年間1000件程度しか無いので、ここでは相続放棄について記します。
◎相続放棄は、相続が発生したことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所で手続きしないとできなくなります。相続放棄しない場合、単純承認したことになります。
◎相続放棄すると、初めから相続人でなかったことになるので、子供への代襲相続も起こりません。
◎例えば、相続財産が自宅と農地だけで、全てを農業後継者に継がせる場合、他の相続人全員が相続放棄すると目的が達せられますが、実務上は遺産分割協議書に全ての財産を後継者が相続すると書いた方が手間がかかりません。
◎故人が受取人になっている生命保険金は相続財産なので、保険金請求すると相続財産を処分したことになり、単純承認したものとみなされます。その後に多額の負債がでてきた場合でも相続放棄ができなくなりますので、相続財産の処分は、全ての資産負債がはっきりしてからするようにしましょう。
家庭裁判所の相続放棄手続のページ
実際に相続放棄手続きをする場合は、こちらをご参照ください
◎相続放棄の申述 (家庭裁判所に対して、相続放棄の意思表示をすることを、こういいます) は、郵送でもできます。
 家庭裁判所の相続放棄のページに申述書式と記載例がありますので、参考にしてください。
◎相続放棄手続きをする裁判所は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所宛てです。
◎申述書に必要な戸籍、住民票徐票、印紙、切手を添付して送付します。
 亡くなった方の戸籍は、子供が申述する場合は、死亡の記載がある最後の戸籍だけで足ります。
 親や兄弟姉妹が申述する場合は、先順位の相続人がいないことを証明しなければならないので、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍が必要です
◎子供が全員相続放棄すると、相続権が親に移ります。
 親は先に亡くなっている場合が多いですから、そうすると相続権が兄弟に移ることになります。
 相続放棄は多額の負債がある場合がほとんどですから、子供が相続放棄する場合は、その事を次の相続権者に連絡するようにしましょう。

手続きの流れ

 ①申述書を送付する。
 ②家庭裁判所から、申述人に対し、内容確認の照会状が届く。
 ③照会状を家庭裁判所に送付する。
 ④家庭裁判所より、申述人に相続放棄受理証が届く。これで完成です。


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