任意後見

本来の成年後見制度(法定成年後見と呼びます)が民法に規定された制度であり、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」という法律で詳細を規定されているのに対し、任意後見制度は「任意後見契約に関する法律」という民法の特別法としての法律に規定された制度です。法定後見制度の利用が、親族からの申し立てで始まっているケースが全体の9割以上であるのに対し、任意後見制度はあくまでも自分の意思で、自分の老後に備えるために自分で任意後見契約を交わすものです。

◎制度の概要

・将来、自分の判断能力が認知症などにより低下した場合に備えて、自分が選んだ任意後見受任者との間で「任意後見契約」を交わしておくというものです。
・任意後見契約は、公正証書によらなければなりません。公証人という法律のプロを関与させることで、詐欺的契約などを防止します。
・その後、任意後見契約の依頼者の認知能力が低下したと任意後見人が判断した場合に、任意後見人は、家庭裁判所に対し、「任意後見監督人選任の申し立て」を行います。
・この制度が有効になるのは、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時です。任意後見契約を締結しても、委託者の判断能力が十分ある場合は任意後見制度そのものが必要ありませんので、任意後見監督人の選任は必要ありません。
・つまり、契約締結時に公証人、契約稼働時に裁判所という2つの法律のプロをからませることで、でたらめな契約が行われることを防いでいるわけです。

◎任意後見人の役割

「財産目録」を作成して、本人の意思による受任項目を明らかにしておきます。大きく分けると「財産管理」と「生活療養看護」です。

◎財産管理

「財産管理」は不動産の処分やアパートの管理、有料老人ホーム入居契約、年金の受領など、委託者本人が将来自分がどう生きたいのかを十分考え、任意後見人に委託します。

◎生活療養看護

医療機関との診療契約締結、医療費の支払い、要介護認定の申請や介護業者とのサービス提供契約などができます。療養看護といっても、任意後見人が実際に看護の御世話ができるわけでなく、それらは専門家に依頼しなければなりません。又、治療行為の同意は、任意財産人にはできません。

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